2025/08/05 17:43
Producer's Story
伊藤謙商店
▸お話をお伺いした、伊藤謙商店 5代目の 伊藤樹さん

【商談会で見つけたおしゃれな甘酒】
仙台市で開催された商談会で出会った、素敵なパッケージの甘酒「CRAFT AMAZAKE」。綺麗な白色と、優しいピンク色の甘酒に目を奪われました。
お伺いしたころ、綺麗な白色は秋田オリジナル麹「あめこうじ」を使用した甘酒。優しいピンク色は甘酒にラズベリーを加えた、フルーツ甘酒。
試飲させていただいたところ、どちらもとっても美味しい!
特に「CRAFT AMAZAKEラズベリー」は、甘酒にラズベリーの上品な酸味が加わることでスッキリとして飲みやすく、ラズベリーの粒が良いアクセントになり食感も面白かったので、大変気に入りました。
作っているのは秋田県能代市二ツ井町にある「伊藤謙商店」5代目の伊藤樹さん。
製造現場を実際に見てみたいという気持ちが抑えきれず、伊藤謙商店さんに実際に行ってきました。
▸伊藤謙商店さんの外観 (2025年1月中旬の訪問です)


【地域のことを大事に引継ぎ→発信】
伊藤謙商店さんは、1878(明治11)年、地域の薬屋として創業されました。
現在はお酒やお菓子、日用品などを販売している酒類小売店で、インタビューさせていただいた伊藤樹さんで5代目となります。
伊藤謙商店さんのある場所は、二ツ井町の「荷上場(にあげば)」という地区で、米代川と藤琴川の合流点であり、古くは舟運の要所として栄えていた土地だったそう。
郷土芸能や神事など伝統行事が多く受け継がれている土地でもあり、樹さんも幼い頃から様々な行事に参加してきたことから、家業を継ぐにあたって「地域の歴史や伝統を大事に引継ぎ、発信していきたい。」と思っていたそうです。
▸伊藤謙商店さんのお酒コーナー

▸薬屋だったことを感じさせる秤

【どぶろく特区】
二ツ井町の名所「きみまち阪公園」は、桜の名所として親しまれています。
2000年、秋田県総合食品研究センターがきみまち阪公園のソメイヨシノから酵母を分離して「秋田美桜酵母」を作りました。
この酵母を使った地ビールやワインなどが地元のお土産として増えていく中、樹さんも「地元の土産品として親しまれるような商品を作りたい」と、2015年に構造改革特別区法(どぶろく特区)による濁酒製造免許を取得し、まずはどぶろく醸造を始めました。
ゼロからのスタートのため、地元の酒蔵(喜久水酒造さん)で造りの手伝いをして学んだり、前述のセンターで専門家から醸造の基本を教わったりして学んでいったそうです。
地元産のお米、世界自然遺産・白神山地の天然水を使用した、どぶろく作りに取り組みます。
3年の月日を経て、第1弾「美桜どぶろく きみまちの詩(うた)」が完成しました。
その後、かつて江戸時代まで荷上場地区で作られていたとされる地酒を、どぶろくで復活させたいと考え、歴史のリサーチを開始。
当時の仕込み方など技術的歴史背景を考慮して、どぶろくをどぶろくで仕込む「再仕込みどぶろく」製法を考案。
その製法を用いて完成したのが「再仕込みどぶろく 坂野泉(さかのいずみ)」。
こちらは「あきた食のチャンピオンシップ2023」菓子・飲料の部で、見事金賞(県知事賞)を受賞しています。
▸どぶろく「美桜どぶろく きみまちの詩(うた)」と「再仕込みどぶろく 坂野泉(さかのいずみ)」

▸あきた食のチャンピオンシップ2023の賞状

【子どもたちにも安心して飲んでもらいたい】
どぶろく作りからスタートした伊藤謙商店さんの自社商品シリーズですが、商談会などに参加して試飲を勧めると「お酒が飲めない」「このあと運転がある」等の理由で断られることがあったそう。
そこで、2024年から作り方も似ている「甘酒」作りに着手します。
甘酒の作り方は大きく分けて2種類。
1つは酒粕から作る方法で、もう1つは麹から作る方法。
酒粕を使わない場合、お米と米麹から作るのが一般的な作り方ですが、専門家に相談しながら試作を重ねて樹さんが辿り着いたのは「米麹のみ」で作る製法。
また、米麹は吟醸酒用の麹菌を元につくられた秋田オリジナル麹の「あめこうじ」を使用しており、甘みの強さと(褐変性(チロシナーゼ活性)が従来の麹より低いため)麹自体が白いのが特徴です。
このblogをお読みの方には、甘酒は独特の風味があるから苦手、、、という方、いらっしゃるのではないでしょうか?
実は筆者もそうでした。ですが、CRAFT AMAZAKEは飲みやすい、、、、。
色々調べてみると、あの風味は酒粕から作ったときのものだとわかりました。
また、酒粕から作る甘酒はアルコールが1%未満だけど残っていることがあるそうですが、米麹から作る甘酒は0%の「完全ノンアル」。
ですので、子どもたちにも本当に安心して飲んでもらえるのです。
▸「CRAFT AMAZAKE ラズベリー」発酵中の様子

【フルーツ甘酒、そしてフルーツどぶろくへ】
私たちが商談会でとっても気に入った「CRAFT AMAZAKE ラズベリー」。
国内で出回っているラズベリーは輸入ものが多いのですが、実は秋田県はラズベリーの生産量で1位を取ったことがある生産地。
主な産地は五城目町などですが二ツ井町でも栽培されているそうで、地元産の希少なラズベリーを使用しています。
地域の素材を原料にした添加物不使用・ノンアルコール甘酒を作りたいと思ったときに、甘酒に、さらに甘いフルーツを足すと、甘ったるくなってしまうので、酸味のあるラズベリーと掛け合わせてみたところ、あめこうじの甘さにラズベリーの上品な酸味が加わって、スッキリとした飲み口に仕上がりました。
また、もともと「飲む点滴」と言われるほどに栄養満点な甘酒ですが、さらにラズベリーにはビタミンCや食物繊維、抗酸化成分など、美容や健康維持に効果的な成分が多く含まれています。
健康を気にしている方や、忙しくて朝食をとる暇がない女性、そして子どもたちにも是非飲んでみてほしいとのことでした。
樹さんに今後の展望等をお伺いしたところ、「フルーツどぶろく」を作るのが目標とのこと!
特区の製造免許では副原料を混ぜられないので、フルーツどぶろくは作れません。
ですので、まずは製造数量を増やして「その他醸造酒」の免許を取りたい、とのことでした。
CRAFT AMAZAKEを機に、どぶろくにも興味を持たれましたら伊藤謙商店さんのホームページからご確認ください。
秋田イイモノでは、CRAFT AMAZAKEを通して、秋田からフルーツどぶろくが生まれるのを応援しています!
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▸CRAFT AMAZAKE プレーン&ラズベリー

▸CRAFT AMAZAKE ラズベリー

伊藤謙商店さんの商品はコチラから↓
■【お米が、ラズベリーに恋をした。】CRAFT AMAZAKE ラズベリー (720ml)
■【ハジマリの白とトキメキの紅】CRAFT AMAZAKE プレーン&ラズベリー (720ml各1本)
【伊藤謙商店】
代表:伊藤樹
店舗住所:秋田県能代市二ツ井町荷上場字鍋良子出口104
(文責:奥良美)